かごめの家族が温泉旅行に出かけた次の日の朝。

かごめは台所で朝食の用意をしていた。
眠ったのが明け方だったのですでに太陽は高い所まで登っている。

パンをトーストにして、スライスしたハムを焼いてその上に卵を割って落とす。
目玉焼きは蒸し焼きにするだけだから失敗する事も無い。
犬夜叉は料理するかごめをすぐ後ろで珍しそうに見ていた。

「犬夜叉、そこに座って待ってて。」

テーブルの席をゆび指す。
ランチョンマットを敷いて暖めた牛乳を彼の前に置くと

「おれはいらねえよ。」

「一人じゃつまらないから、一緒に食べてよ。」

半妖の犬夜叉はふだんあまり物を食べなくても平気みたいだが、一人で食べるのは味気ない。

焼けたパンとバターの香ばしい匂いが食卓に漂う。

「なんだあ？このぱさぱさしたのは。」

「パンよ。どう？」

「美味え。」

出されたものは変な匂いで無いかぎり全部食べてくれるから嬉しい。

二人で向かい合って食事をしてると、なんだか新婚さんになったみたいなくすぐったい嬉しさに包まれる。

　もしも結婚…したら…いつもこうして二人で食事が出来るのね…


　なんか…、素敵かも…

明るい日差しのなか、二人のゆったりとした穏やかな時が流れる。

食事が済んで食器を片付けると、かごめは今日の予定を思案する。
食材は母が冷蔵庫にいろいろ買い置きしてくれていたので、特に買い物に行く必要も無い。
どこかに遊びに行こうか、一緒にビデオを観ようか、なにかゲームをしようか…。
もう昼になってしまったけれど天気の良い日に家に閉じこもっているのももったいない気もする。

とりあえず、昨夜切れていた居間の蛍光灯を取り替えることにした。明日、旅行先から疲れて帰ってくるであろう母にやらせるのは忍びない。
中央のテーブルを動かして蛍光灯の下に台所の椅子を運ぶ。

「あぶねえだろ、おれがやってやるよ。」

「だめよ。あんた、力の加減知らないんだから。」

「う…。」

「この間も、戸棚壊したでしょ。」

「…。」




蛍光管を持って椅子に乗るかごめ。

犬夜叉は何も言い返せなかったので見ていることにした。

その時、椅子が揺れてバランスを崩した。

「きゃああっ！」

「かごめっ！」

かごめは庇ってくれた犬夜叉を下敷きにして畳の上に倒れ込んだ。
椅子から落ちたと言っても、下には座布団もあったのでたいした被害はない。
持っていた蛍光管も落ちて転がったが無事のようだ。

「ご、ごめんね、犬夜叉。」

ここまでは、何の問題も生じていないのだが

犬夜叉の上から降りようとすると

「こらっ！かごめっ。んなとこ触るんじゃねえっ！」

かごめの左手の位置に問題があった。

「えっ？？あ…。」

彼の下腹部に手が乗っていることに気付く。
慌てて離そうとしたが、ふわ、と妙な違和感を掌に感じて首をかしげた。

「あれ…？」

「なんだよ。」

「なんか、いつもと違う…？柔らか…い？」

「いつも勃ってるわけねーだろ！」

「あっ…そ、そうよね…。あはは…は…。」

　そういえば、立ってないときの…って、ちゃんと見たこと無い…
　どんななのかしら…

犬夜叉の両手がかごめの肩を掴んだ。

「おまえが刺激したんだからな…。」

「えっ…！？」

かごめの手の中にいた柔らかかったものが、むくむくと自己主張をはじめる。

「あ、ごめん、離すからっ！」

「もう、遅い。」

「きゃあっ！」

くる、と二人の上下が入れ替わった。

「犬夜叉っ！」

みるみると服を脱がされる。

つい、今朝まであれほどしたばかりなのに…。と自分には無いものの不思議な神秘さを想う。
と言うか、ただ吃驚してしまう。

「あっ…。」

昨夜の快感の余韻を引きずってまだ冷めていないかごめの身体が、かすかに触れられただけでも見事に反応した。

したい、と。

して欲しいと思っている自分の身体にも、かなり驚いた。

彼の甘い舌の動きを感じながら、いつもとは違う場所である和室を見回す。

いつも家族でテレビを見たり団欒を楽しむ居間。
まだ皆の笑い声がどこかに残っているような空間。
いまにも、母や弟がひょいと現れてしまいそうな気がする。
台所への戸が開け放されていてやたらと広く感じて落ち着かない。
母と祖父の使う座布団の上でこんなことをするのはかなり気が引ける。

違う場所でというのも新鮮だがやはり自分のベッドの上がいい。

犬夜叉が自らの着物を解いて今にも挿入しようという体勢にはいった。

「や…犬夜叉…。」

「ん？」

「ここじゃ、いや…。二階…、上でなら…。」

「上なら、いいのか？」

「うん…。」

「よおし。じゃあ、おまえが上だ。」

「きゃあっ！え…ええっ！？」

くる、と再び上下が入れ替わり、上半身起こした犬夜叉に腋の下から子供のように抱えられて腰の上に乗せられる。

「ちっ！違う！犬夜叉！そういう意味じゃ…あ…。」

足を開かされ彼の上に馬乗りになると重力に従って沈む秘部に硬い塊が進入する。

「あっ…！」

蜜の湧き出る源にすっぽりと収まった。

「は…あっ…！」

快感で一瞬毛が逆立ち身体が震え上がった。

犬夜叉がゆっくり横たわると
レースのカーテンを閉めただけの明るい部屋にかごめの姿態がはっきりと浮かび上がった。
自分の裸体だけが、清楚な部屋に妙に目立つ。

犬夜叉は上に乗った少女の身体をうっとりと眺める

「この体位もいいな。おまえがよく見えるからよ。」

いいこと知った、という風に朗らかに言う。

「やっ。いやっ。恥ずかしい！　犬夜叉！！」

腰を捕まれて支えられ下から突き上げられる。

「あっ！あっ！犬夜叉あっ！」

揺れに合わせて艶やかで丸い二つの胸が豊かに弾む。

「ああんっ！いや！やあっ！」

両手で顔を覆っても恥ずかしさは変わらない。

「やだってばあっ。犬夜叉！」

首を左右に振って訴えるが無視される。

「やめて。やめてよ。犬夜叉！あっ！あっ！」

「ふざけんな。途中で止められるわけねえだろっ。」

上下運動が繰り返される。

「だから、この体勢…。ああっ、あっ。」

普通は上に乗った女の腰を支えたこの体勢だと下の男はすぐに疲れてしまうだろうが、犬夜叉には疲れるという文字は無い。

「や！いやっ！あっ！あっ！」

悶えている姿を下から彼の視線に晒されて、死んでしまうほど恥ずかしい。

　もう。やめてっ言ってるのにやめてくれないし…

なんだか彼のことが無性に憎らしく思えてくる。

かごめは右手を後ろに回して彼のふたつの果実をそっと掴んだ。
ここは彼の感じる部分のはず。

犬夜叉はぴた、と腰を止めて顔を顰めた。

「こら、かごめっ。なにすんだ。」

「感じる？」

「くすぐってえだけだ。」

「くすぐったいんだ…。へええ…。」

さらに揉みしだく。

「うあっ。やめろっ！」

「くすぐったい？」

執拗に指で摩る。
彼は辛そうな複雑な表情。

「ちくしょう。かごめっ…。」

怒ったような目で睨まれるが無視して続ける。

「この野郎っ！許さねえっ！」

「なによっ。」

右手は彼の一部を掴んで離さず揉み続ける。

「てめえっ。こうしてやるっ！」

「きゃあっ！」

そのまま起き上がるとかごめを仰向けにして上にのしかかり乱暴に正常位になった。
激しく突き動かして抜き差しを繰り返す。

「ああっ！あんっ！あんっ！」

「どうだっ！」

かごめの両足を高く持ち上げ肩で支え腰を掴み片膝を立てて斜め上から打ち下ろすように貫く。

「あああっ！あっ！あっ！あっ！」

「まいったかっ！」

みしみしと畳が鳴き、隣のテーブルが揺れる。

「い、犬夜叉！」

「かごめっ！」

振動が伝わって窓までかたかたと鳴りだした。

「ああああああっっ！」

「うっ、ああっ！！」

強く抱きしめられる。
自分の中で彼の硬い塊がひくひくと痙攣するのが分かった。

絡み合ったまま動かなくなった男女。
100メートルを全力で走ったような荒い息遣い。

しっとりと身体に汗を浮かべた二人が見つめあう。

「一緒に、いけたね…。」

「ああ…。」

早い呼吸はなかなか静まらない。

彼のものが少しずつ小さくなっていくのを感じる。

「一緒って、嬉しいね…。」

「そうだな。」

かごめは思わずくすりと笑う。

「でもなんか、ムードがないわね。」

「なんだ？その…むうどって。」

「もう、いい…。」

かごめは可笑しさをこらえながら彼の首筋に手を回して接吻を求めた。

睦みあった舌と唇がそっと離れると

「このまま二回目やるか？」

「なっ、やだっ。」

「そうだな。ちょっと休んでからだな。」

「何言ってるのよ！」

「何度でもやってやるぜ。かごめ。」

「ちょっと、…何回出来るのよ。」

「さあな。…試してみるか？」

「もうっ。いや！」

そしてまた、くすりと笑って抱きしめた。