＜まえがき＞ これは、「新月のまどろみ」様の企画参加作品です。 管理人様の小説「星空の誘惑」の続きを書こうという企画でした。 この作品の前編にあたる、「星空の誘惑」は「新月のまどろみ」さまで読むことが出来ます。 「星空の誘惑」のあらすじ かごめは、犬夜叉を誘い信州に温泉旅行に行った。 そこは、５百年前に犬夜叉とはじめて結ばれた思い出の場所だった。 二人っきりで、混浴の露天風呂に浸かっていると… |
視線
「…そろそろ…寝ないとやばいんじゃねえか？」 「えっ、どうして？」 時が止まったようなふたりきりの静かな時間。 囁くように降る星の瞬きが美しくてロマンティックで もう少しだけこうしていたい、とかごめは思った。 「おまえがいいなら、いいけどよ。」 「え、いいって…」 彼の発する含みのあるような音の意味が、よく分からない。 「おれはかまわないぜ？ここでこんなことしても…」 「あ…」 身体を引き寄せられ彼の膝の上に乗せられると、顎を支えられて優しく口づけを 施された。 そっと進入して甘く纏わり付く熱い舌。 温かい湯に包まれて、彼の固い身体に抱きしめられて、心にも身体にも初めて経 験した時の初々しい思い出が甦った。 「思い出してたんだろ…？」 犬夜叉、やっぱり覚えてたのね 口付けながら湯の中の彼の腕がかごめの身体を包むバスタオルの中に進入すると、 ふたつの柔らかい胸を弄った。 「あ！犬夜叉…」 「いいだろ…？」 徐々に堅く立ち上がる紅い蕾。 「や…こんなとこで…！」 戦国時代ならいざしらず、ここは現代の共同浴場。ふいに誰かが入ってくるかも しれない。 「だからやばいって、言ったじゃねえか。」 犬夜叉は自身のそそり勃つ肉塊をかごめの身体に押し付けた。 「そんな…」 「おまえのこんな姿見ながら、平気でいられるわけねえだろ。」 少女の身体を覆う白いタオルを解くと、手をさらに下へと滑らせて、感じやすい 部分に差し入れる。 「あ…！！」 性急に花芽に辿り着いた指先が、遊ぶようにそれを弾いた。 「あんっ…！」 早熟な身体が艶やかな音色を奏で、それが一層犬夜叉の本能を獣へと駆り立てる。 「いいだろ…？かごめ…」 ぬるりと、指先の感覚が溢れた愛蜜を感じ高ぶる欲望がはじけた。 「もう、止められねえ…」 「あ…、犬夜叉…！」 くるりと後ろを向かされて、腰を捕まれると、いきなり堅い異物が押し入ってき た。 「ぁあ！」 すでに慣らされた少女の身体が、深い官能に震えた。 繋がったままかごめを支えて立ち上がると、大きな岩に寄り添って捕まらせた。 「湯にあたらねえように、こうしてろ。」 「あ…」 「動くぞ…？」 返事を待たずに、腰が激しく突き動かされた。 「ああん！！」 彼の揺れに合わせて、腰から下の湯がばしゃばしゃと大きく騒ぎさざなみが広が る。 「ああっ！！ぁ―！！」 静寂な大気が乱され突如響きわたった色づいた嬌声。 岩にあたり大きく反響してロッジにも届いてしまっている気がする。 そのとき かさり、と人が草を踏むような微かな音が耳に届いた。 気のせいか、風の音だと思いたかった。 がさっ、とまた音がした。 水音と己の嬌声の合間に、確かに聞こえた。 かごめの身体が緊張で強張った。今のは風の音ではない。 揺らされ感じながらも意識を暗闇に向けると、人の気配が近くにあった。 「犬夜叉…誰か…いる…」 暗くて良く見えないが、確かに誰かの視線を感じる。 「かまうこたねえよ。」 「や！いや！恥ずかしい！」 こんなところを誰かに見られるなんて、冗談じゃない。 「みんなやってることだろ…？」 犬夜叉の腰の動きは止まらない。 「いやあっ！やめて…！」 宿泊客か、ロッジの従業員か。それとも地元の住民か。誰かは分からない。 かごめは逃れようと必死で首をふって訴えた。 人に見られながらだなんて、信じられない。 「見せ付けてやろうぜ？」 「いやいやあっ！」 こころでは本心からやめて欲しかったのに、否と音を発しているのに その唇は言霊を唱えようとはしない。 「おまえの声、聞かせてやれよ。」 「ああっ…！いや…！」 かごめのなかにいる女が、彼の熱い肉棒を狂ったように求めていた。 でもそれを認めたくなくて、なすすべも無いまま自らの「女」から目をそらした。 騒々しい水音をたてて、開放的な場所で動物的に大胆に行われている若い男女の 艶事。 がさがさっ、とまた近くで人の蠢く気配がした。もはや覗いている事を隠そうと もしていないのか。 いまどきの人は皆カメラを持っている。見られているばかりでなく、写真に取ら れているかもしれない。 こちらからは見えないけれど、じっと誰かに見つめられビデオカメラにとられて いる錯覚までする。 カメラに映った淫らな自分の姿が、鮮やかにイメージされた。 こんな自分はどんな風に映っているのだろうか。他人の目には。 妖艶な女だろうか。淫乱な女か。 美しい姿か醜い姿か。 煽りや俯瞰や、カメラの角度を変えてすべて記録され本来秘め事であるはずの行 為が万人の目に曝される。 死ぬほど恥ずかしくて逃れたいのに、身体は何か別のことを考えていた。 その正体は、ふつふつと沸き起こる、なにやらぞくぞくとした淫靡な気持ち。 ＡＶ女優の気持というのは、これと似たものなのかもしれない。 そう思うと、少女の身体が湧き上がる一層の興奮を感じた。 「あっ…！！犬夜叉！」 彼は岩にしがみついていたかごめの腕を引き剥がし、視線の感じる方向に向けて 身体を披露するように立たせた。 「いやぁ！恥ずかしい！」 立ったまま後ろから突き上げられ、彼の手は胸の蕾と下の花芽を刺激し嬲った。 「やああっ！やめて！」 下腹部がきゅんと騒いで、熱い内壁がぐっと締め付けて包んでいた彼を頂点へと 導いた。 「ああっ！！！」 「はっ…あっ！」 犬夜叉の口元からも熱い吐息が溢れ、自身をぐっと最奥へと差し込むと少女の身 体をきつく抱きしめてぶるりと震え、猛る想いを解き放った。 ようやく静まった水音。しんとした空気に荒々しい息使いが木霊した。 ちからを失ってゆくものが倦怠感に包まれたかごめ身体からそっと引き抜かれた とき がさっ、と木々を揺らす音が何度かして、それが遠ざかっていった。 「行ったみてえだぜ？猿。」 「えっ…」 かごめはまだ息を静められずに、ぐったりとした身体を犬夜叉に預けたまま目を 丸くした。 視線の正体は―― 「…猿……猿だったの？…ほんと？」 「おう。」 こともなげに、彼は答えた。 「おれがおまえの身体を他のやつに見せるようなこと、するわけねえだろ？」 「なっ！何で教えてくれないのよ！人かと思っちゃったじゃない！」 かっと頬を染めて、怒りを露にした。 「観られながらってのも、けっこう燃えたんじゃねえか？」 動じない少年はからかうようにこう言った。 「もう…！ばか！」 かごめは彼の胸を両拳で力無くたたいた。 ほっとしたのと、腹立たしさでどっと脱力する。 人に覗かれていたのかと、すごく恥ずかしかったけど、でも犬夜叉に言われた事 も間違ってはいなかった。妙な快感を感じた事を否定できない。 犬夜叉はかごめを抱きしめると 泣き出しそうな頬に口づけを降らせて、宥めるように 「ほんとは猿にも見せたくねえけど…。」 そして耳元に唇を寄せて、囁いた。 「すげえ、良かったぜ。」 それは、あの部分の締りが良かったということだろうか。 こんな事を褒められるのも、恥ずかしかったけれど、なんだか嬉しかった。 「大丈夫か？」 息を静めながら岩に腰をかけると、身体を気遣ってくれる彼に、そっと頷いた。 ふうわりと、夜風が流れ火照った身体を優しく静めてゆく。 「もうあがろうぜ、のぼせちまうぞ。」 「うん…」 「夜はまだ長えしな。」 「な、どういう意味よ。」 彼は金色の瞳をきらりと光らせてかごめを見遣り、悪戯っ子のように笑うと さぁな、と、意味ありげな音をのこして 白い煙立ち上る湯船からすくと立ち上がった。 透明な水滴が引き締まった逞しい四肢をきらきらと転がりながら滑り落ち、艶や かな銀糸の先からも糸のように地上に零れた。 かごめはその後姿に見惚れながら、湯の底に沈んだバスタオルを拾い自身の身体 を包み そして、再び夜空を見上げた。 瞬く星々の煌きがくすくすと笑うようにふたりに降りかかり また何かがはじまりそうな、甘い予感と星空の誘惑。 |
| （終） |
＜あとがき＞ 読んでくださってありがとうございました＾＾ これは、03年の10月頃に書いたものです。 まえがきでも書きましたが「新月のまどろみ」様の企画参加作品です。 管理人様の小説の続きの話を皆で妄想するということで、同じシチュエーションでいろんな展開が見られてとても面白い企画でした。＾＾ もう、二年近く前の企画ですので、こちらで公開しても他の参加者の方に失礼にはならないかと思いますので、このたびこちらにも置かせていただくことにしました＾＾ なおみさんの「星空の誘惑」の続き「視線」を私が書きまして、その続き「影見（かがみ）」をナオミM＾＾さんが書いて下さいましたｖ |